【MSLの仕事シリーズ】臨床開発とMSLの仕事の違いは何か?


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どうも、こんにちは。のぶです。

だいさくさんのブログ記事を読ませていただき、MSLと開発の違いについて言及されていたので、コメント投稿させていただきました。

お役にたったのか、意図にそった違いをお伝えできているのかわかりませんが・・・。

その際に、のぶが回答した内容を記事にしたいと思います。

開発がMSLの仕事やれば良いじゃん?と私も前は思っていました。

開発でもMSLの仕事できると思うけど?という疑問があると思いますが、その辺も踏まえて、私なりの見解をお伝えしたいと思います。

臨床開発とMSLの仕事の違いは何なのか?

両者の仕事の違いは、仕事のゴールと目的が異なることだと思います。

臨床試験における各フェーズにおいて、MSLと開発での関わり方は異なります。

臨床試験には、フェーズ1〜4までありますが、MSLがフェーズ1から関わることはあまりないと思います。

MSLの関与があるとすれば、フェーズ2〜4だと認識しています。

フェーズ2、3試験におけるMSLと開発の業務の違い

まず、フェーズ2、3試験における開発の仕事は、症例登録を推進して、治験を計画通りもしくは早期に終わらせることがゴールだと思います。

開発の仕事の目的は、いかに効率よく症例登録を行うかであると認識しています。

一方で、MSLは、フェーズ2、3試験に開発のお手伝い的なかたちで業務に関わり、アンメットメディカルニーズを抽出することを仕事としています。

アンメットニーズは、言い換えると医師から見ても製薬会社から見ても製品の不足するデータであり、必要なデータとなります。

そういったデータを構築するために、メディカルアフェアーズ主体でエビデンス構築試験を実施します。

何が良いのかというと、治験段階でアンメットニーズを抽出して試験をうつことで、製品の発売時期に合わせて不足するデータのエビデンスを出すことができるわけです。

当初、開発だけで行った治験では、その治験で得られた成績での適応症に限定されます。

メディカルが治験中に抽出できたアンメットニーズをもとに試験を実施することで、当初開発だけで行った試験で得られる適応症よりも、幅広い適応症を獲得できるわけです。

メディカルアフェアーズは適応症拡大のための試験をうっているというようにも言い換えられますね。

ただ、各社状況が異なるようで、治験において開発と協業しない会社もあるようです。

以上から、MSLが開発段階から関与するメリットは、アンメットニーズを探り出し、ニーズに対して試験を実施して、

製品が発売する時期にメディカル主体の試験結果も同時に出せれば、開発だけで行った治験よりも幅広い適応症が獲得できたり、製品を使用しやすい環境(エビデンスが一つでも多く構築できている環境)を市販直後からつくれるわけです。

そうなると、多くの医師に製品を使用してもらいやすい環境がつくれます。ひいては多くの患者さんに薬が届けられるということにもなります。

今回のMA/MSLの基本的考え方において、開発業務もGCPなどの要件を満たし、SOPなどを設ければMSLも関与できるとの記載だったので、開発業務にタッチできそうです。

以下の記事を参照ください。

どうも、こんにちは。のぶです。 今日4月2日に製薬協のホームページに、MA・MSLの基本的考え方が公表されておりました。 ミク...

フェーズ4試験における開発とMSLの違い

フェーズ4になると市販後になるので、開発はタッチしません。

つまり、MSLが主となります。なので、違いということではないですが、紹介します。

アンメットメディカルニーズが、市販後に出てくるのはよくあることです。

医師から研究をやりたいという要望が出てくるのは、市販後がほとんどですよね。

もちろん、MSLがKOLを訪問してアンメットメディカルニーズを抽出して市販後に試験をやることもあると思います。

いずれの場合においても、MSLやメディカルアフェアーズが窓口もしくは主体となって研究を推進します。

フェーズ4では、タイミングとして製品の価値が下がりつつある段階で新たなエビデンスを出せたりすれば、また売り上げがあがったりもしますので、価値ある活動だと思います。

このフェーズ4の試験は、昔はMRが行っていたことだとは思いますが、今はできないとおもうので、MSLが頑張るしかないと思います。

MSLの仕事は臨床開発でも出来るのではないか?

その通り、MSLの仕事は臨床開発が行うことはできると思います。

開発の方がMSLより効率よく仕事ができたりすると思われがちですが、MSLの真の価値は医師とのディスカッションによるアンメットメディカルニーズの抽出です。

アンメットメディカルニーズを引き出すことは本当に難しいことだと思います。

疾患や製品の知識を十分に蓄えたうえで、効果的な質問や応答をしないと医師からニーズというのは引き出せないはずです。

先生が初めから研究に熱心で、普段から各社の製品に対してどんな研究をやろうかと考えている場合は別ですが。

ですので、医師の研究に対する意欲を高めながら、アンメットメディカルニーズを探ることが重要になります。

臨床開発の方は、研究のオペレーションに長けており自社製品のことはMSLよりも詳しいとは思いますが、

他社製品や疾患に関する知識や医師との効果的なディスカッション力はMSLほどではないと考えています。

もちろんMSL以上にできる開発の方がいるのも知っています。

医師から、あの開発の人、いつも面白い文献紹介してくれるし話が面白いんだよね、ということを聞いたこともありますし。

なので、一概には言えないですが、MSLは医師とのコミュニケーション力に長けていて、疾患のスペシャリストにならないといけないですよね。

MRや開発とも違う職種として、存在価値をあげていかないといけないと思います。

最後に

MSLはまだ日本では立ち上がったばかりで、明確な立ち位置が決まり切っていないところもあると思いますが、

今後メディカル主体でエビデンスを構築したり、医師から診療で困った際に相談をうけたり、どんどん存在価値をあげられるように活躍したい、してほしいと思っています。

ただ、今のところ、メディカルアフェアーズ主体でエビデンスが出せていないところが残念です。

言うは易く行うは難しで、メディカル主体でエビデンス構築できるようになるには、なかなか高いハードルがあります。

ただ、乗り越えられれば、社内での地位もあがり、業界全体としてもMSLの価値は向上するものと思います。

私もそうですが、アンメットニーズをうまく引き出せるようなスキルを身につけ、今後新たなエビデンス構築ができるように励みたいと思います。

ではでは、この辺で。

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