どうも、こんにちは。のぶです。
今回は、大学で面白そうな教育プログラムを立ち上げるという話を聞いたので紹介します。
大阪府立大は知っていますか。
教育プログラムに関連しそうな薬学部はないようですね。
ただ、今回はじまったプログラム、非常に興味深いものです。もし創薬研究に興味のある方は、受験してみるのも面白いと思います。
では、なぜこの大学面白いのか、就職状況はどうなのか、紹介してみようと思います。
大阪府立大の創薬に関する教育プログラムとは何か?
大阪府立大は、学域というかたちで大きく4つに分類されていそうです。
①現代システム科学域
②工学域
③生命環境科学域
④地域保健学域
これらの学域の中でもう少し細かく分類されているようです。
ちなみに「学域」に対して解説がありまして、大阪府立大学における学士課程に相当するもののようです。
他大学で言う学部に相当するものとなるようです。
今回は大阪府立大を紹介したいというよりも、教育プログラムが優れていそうなので、創薬の教育プログラムについて解説してみます。
4月4日にプレスリリースされていますが、2020年4月から全学域の生徒を対象に、「副専攻」として、「創薬科学副専攻」を新設するということです。
まず、そもそも副専攻って何なのか?です。
「副専攻」は、複数分野を学ぶことで広い視野に立った思考力を養うこと等を目的として、主専攻とする分野以外の専門科目を学ぶことができる大阪府立大学独自の教育プログラム。先行して、グローバル・コミュニケーション、DDCフランス語コミュニケーション学、環境学、情報システム学、経済学、認知科学、地域再生(CR)の7つの副専攻を開講している。
大阪府立大ホームページ 大阪府立大 創薬科学副専攻 press-lease
創薬科学以外にもすでにいろいろあるみたいですね。
ただ、今回の副専攻を申し込めば、創薬に特化したことが学べるようです。
製薬企業での研究職・開発職を目指す方など、バイオ医薬品の研究者育成が目的のようですので、以下も読んでみてください。
世界視点での創薬研究・開発事情に対応し、国内外の製薬企業で活躍できるグローバルな創薬研究者、特に「バイオ医薬品」開発に従事できる優秀な人材の養成を目的に、最先端の医薬品開発に必要となる知識と技術を、学域の枠を超えて分野横断的に提供する教育プログラムです。
大阪府立大ホームページ大阪府立大 創薬科学副専攻 press-lease
我々メディカルアフェアーズも視野に入れてもらえると嬉しいのですが。
研究のベースがあったほうが、現場の研究者や医師と深いディスカッションが出来ますので。
そのうちメディカルアフェアーズの方を招聘していただいたりするんでしょうかね。
教育のプログラムは以下の内容を想定しているようです。
受講する学生は、薬学系学問に加え、創薬の一連の流れに即した概論や実習(創薬関係の研究室をローテーション)を通じて、バイオテクノロジーを基盤としたゲノム創薬科学、抗体工学や薬物送達学などを学びます。
大阪府立大ホームページ 大阪府立大 創薬科学副専攻 press-lease
これは良いですね。いろいろな研究室をまわって良いところを学ぶことができるわけですね。
受講学生は20〜25名程度を想定しているようです。
私の時代は、薬学部でもゲノム創薬や抗体工学はほとんど学習した記憶がありません。
薬物送達は昔からありましたけど、今の技術を学べるということでしょう。
特に核酸医薬において、 DDS(Drug Delivery System)=薬物送達システムが課題になっていて薬物の開発に成功できていなかった背景があるようなので、
薬物送達は重要かと思います。
Alnylamというベンチャーが日本に進出してきており、MSLを募集しているという記事でも核酸医薬に触れておりますので興味があれば、お読みください。
創薬科学で学べるメリットは3つある!
私見ですが、メリットを以下にあげてみたいと思います。
①創薬科学における教育プログラムの中に、製薬企業の創薬研究車をゲスト講師で招いた講義を受講できる!
ゲスト講師は現役の製薬企業で働く人になります。第1線で活躍されている方から直接話が聞けて、かつ企業の行っている研究を知れたら、自分が行きたい会社や研究に近づくことができます。
ゲストの方と対話をして自分を売り込むこともできるかもしれません。
②近年、製薬関連企業の研究開発分野への人材供給が急増している!
一番、魅力あることがこれですね。先日読んだ記事に書いてあったことなので本当でしょう。
実際にどこに就職しているのか調べてみました。まず学卒の方の就職です。
学卒の方は、就職よりも進学の割合の方が多いですので、データを見る際に注意です。
特に、生命環境科学域での製薬企業への就職が目立ちましたので、記載します。
獣医学であれば、塩野義製薬、ゼリア新薬、マルホが上がっていました。
応用生命科学類では、協和発酵キリンでした。
上記は、平成29年度の実績なので、昨年はもっと製薬企業への就職は増えているのかもしれません。
では次に、大学院卒の方の就職先です。
これを見ると、一気に製薬企業への就職が増えます。
研究科別の詳細データは引用資料をご参考ください。
就職先であがっていたのは、以下です。
大手の新薬開発メーカーは、武田薬品工業、塩野義製薬、アステラス製薬、エーザイ、大塚製薬、田辺三菱製薬でした。
他、ロート製薬、小林製薬、富士薬品、武州製薬、日本化薬、マルホです。
製薬会社から臨床開発の業務委託を受けて仕事をするCROという業種がありますが、イーピーエス(CRO)、シミック(CRO)への就職実績がありました。
このデータをみて、塩野義製薬とマルホには学卒でも院卒でも共通して就職しておりましたので、もしかすると就職のルートとして何かしらの人脈が働いているかもしれません。
③アカデミア創薬から臨床の治験に移行した成功パターンを間近で学べる!
これ、かなりすごいと思います。
今、製薬会社の研究者ですら、ほぼ新薬の開発ができていない状況です。
優秀な方々が研究者として就職しているものの、成功と優秀は別次元の話なので、創薬の難しさを物語っています。
しかし、府大創薬と銘打って、アカデミア創薬から治験に移行した実績があるということです。
府大では、中分子医薬、DDS、薬物動態、疾患モデル動物などの開発研究が行われているようです。
特に中分子医薬は注目されている技術ですので、まさに研究分野としてホットな領域かと思います。
以下のようなシンポジウムも無料で開催されたようなので、いかに注目度が高いのかがわかります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
進路で製薬会社を目指す場合、大阪府立大学も候補の一つになりますでしょうか。
あなたが住んでいる地域や志望する学部などもあるでしょうから、副専攻で学ぶよりもダイレクトで創薬研究を学べる大学の方が良いと思うかもしれませんが、
アカデミア創薬で治験まで移行した実績をもっていることが何より魅力かと思います。
そういった研究室は全国でも数は多くないと思いますので、創薬を学ぶ上では良い大学の候補の1つとなるかと思います。
また、在校生の方でも来年度から受講できるようなので、製薬会社を目指す方は受講されてみてはいかがでしょうか。
ではでは、この辺で。