どうも、こんにちは。のぶです。
先日、読者の方から寄せられた質問について回答しましたので、
記事にしたいと思います。
今回は、臨床経験のみでMSLに転職が可能なのかです。
私の感覚ではMRからMSLになりたいと人は多いとは思うのですが、
意外と現役薬剤師の方やアカデミアの方、研究職の方からの連絡が多いことに気づきました。
ということもあり、現時点での私の見解を記事にしたいと思います。
お問い合わせいただいた内容
突然のメールにて失礼いたします。MSLへの転職についてご相談したくご連絡差し上げました。
当方、某大学病院に勤務する病院薬剤師です。
某大学薬学部修士課程卒業、薬学博士も取得しております。
TOEICは未受験であり現在勉強中です。
主に癌領域の業務を担当しております。英語論文の査読には抵抗はありません。
またがん領域における臨床研究を継続して行なっています。
私のような経歴でMSLが勤まるのか、期待できる年収額、またどのようなキャリアパスが考えられるかご教示いただければ幸いです。
ということで、私なりの見解を示したいと思います!
病院薬剤師経験のみの方が、MSLへ転職ができるのか?
臨床からMSLへの転職をご希望とのことで、以下の内容について、私見ではありますが、回答させていただきます。
結論から言うと、企業が欲している人材であれば、転職可能です。そして、病院薬剤師経験のある方でもMSLは務まります。問題ありません。
バックグラウンドと研究経験
現在、製薬会社の現役MSLのバックグラウンドは、大学院卒+薬剤師資格の方が多くいます。
ただ、お問い合わせ頂いた方は、博士号を取得され、臨床研究の経験もあります。これは、かなりのアピールポイントです。
特に、臨床研究の経験はどういった経験かにもよるのですが、 自分でプロトコールを書いたり、ARO等での業務を行っていたとすると、ニーズの高い人材であると思います。
英語力
英語論文に抵抗がないことも重要ですが、英語の運用スキルとしてTOEICが何点なのかが、転職する上で問われます。
スコア以上に、英語で海外とコミュニケーションが取れるのかが、一番重要です。
特に、テレカン(衛生を通じたテレビ会議のこと)で、海外の人とコミュニケーションが取れるのかを企業は気にしています。
実際にはTOEICで点数もってても話せない人は多いので、あくまでも転職するため、ということで考えてください。
TOEICのスコアがなくても、海外の人とのコミュニケーションを伴う仕事の経験があれば、スコアは有していなくて問題ないと思います。
大学院のときに英語でのプレゼン・質疑の経験があれば、そういった経験はアピールになると思います。
8また、海外の人とコミュニケーションをとるような会議・研修など、うまくこなせたという経験があれば、英語運用力には問題ないと判断されるでしょう。
書類上、TOEICを未受験だったり、求められるスコアがないと、企業が判断をするうえで、英語力はどうなのかの確認できないというデメリットがあります。
なので、TOEICにとらわれないために、転職エージェントに英語を使った○○という経験がある、ということを伝えておいて、エージェントから書類提出時に申し添えしてもらうと良いと思います。
仮にTOEICのスコアがあっても、英語を使ったビジネス会議等を経験していないとあまり評価は上がりません。私がMSLとして転職する際にも、英語はどの程度できるのか、必ず確認が入ります。
追加で、「あせらずにTOEICが出揃ってから転職活動したほうが待遇含め良い結果になるでしょうか?」という質問もいただきましたが、
TOEICの点数で待遇が上がることはほぼないと思います。
ですので、点数が揃ってから転職活動するよりも、TOEICの勉強もしつつ、もう転職活動をはじめることが良いと思います。
転職しようと思ったときが、転職のタイミングとしては良いのではないかと思います。色々と考えた上での相談でしょうから。
オンコロジーの経験
今もっとも流行りのオンコロジー領域での経験があります。
例えば抗PD−1、抗PD−L1抗体などにおけるチーム医療の経験、医師との臨床や研究に関するディスカッション経験があれば、アピールできるものと推察します。
もし、がん専門薬剤師や、がん指導薬剤師といった資格を有しているのであれば、アピールポイントになるのではないかと思います。
そのような資格を重視している企業があったと記憶しておりますので。
年収
年収ですが、おそらくMSL未経験でMSLに転職すると年収は横ばいの可能性が高いです。
ただ、大手企業であれば、福利厚生がついてきますので、家賃負担がかなり減ると思います。そういう意味では年収は50ー100万くらいは増えるのではないでしょうか。
年収は、企業からの面接の評価によって、上下する可能性もありますので、とりあえず受けられるだけ受けて、内定を多く勝ち取ることを考えてみてください!
「MSLはなかなか評価基準の設定が難しいため、仮に未経験でMSLを開始した場合にどのような推移が予想されますでしょうか?」という追加質問もいただきました。
MSLの評価基準があいまいではありますが、評価判断するのに成果を出すことが重要です。
成果とは、例えば医師からのアンメットニーズが収集できたのか、臨床研究を実施できたのか、等です。臨床研究を立ち上げるのは相当大変なので、かなりの成果ではありますが。
そういった成果が出せれば、昇進・昇給することにつながります。
MSLのキャリアパス
キャリアパスは、MSLマネージャーや、メディカルプラン作成の戦略系の部署があります。
あとは、メディカルインフォメーションのような外部からの問い合わせ対応の部署、MSLの教育をする部署などがあります。
各社、メディカルアフェアーズとして有する機能が異なりますので、面接時にどういったキャリアパスがあるのかを確認してみてください。
もちろん、MSL以外のキャリアパスもありますが、こういった職種につくにも成果を出すことが重要です。
また、マネージャーは管理職ですので、成果も出したうえでさらにマネージャーとして必要とされる資質を有することを証明する必要があります。
入社後の心配
最後にこういった入社後の懸念についても質問いただきました。
「懸念している点は、臨床経験のみではじめて企業に入っていく点で、年齢的なハンディキャップがどれだけあるのかということになるかと思います。企業内の部署間の関係性なども理解していないのですが、のぶ様はMSLの年齢についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか?」
年齢は関係ないと思います。どんな人でも人として良い人で、接しやすければ、部署間との調整もうまくできますし、大丈夫です。
ちなみに、年齢構成でいくと、MSLで20代後半や30歳前半は若手で一番若い人材層になると思います。MSLとして多いのは、30代後半から40代くらいの方が多いと思います。
新人でMSLになる人もいますが、会社によって採用すらしていないところもありますので、33歳で入社したら一番下になる可能性はまずまず高いです。ほとんどが先輩になるかもしれません。
新しい職種は、やってみないとわからないのと、はじめからできる人はいませんので、その点は大丈夫だと思います。
最後に
基本的なコミュニケーションがとれて、学術知識があり、英語がそこそこできればMSLは出来ますので、ご安心ください。
ぜひともこういった方々には転職に成功してもらいたいと思います。
個人的に相談いただければ、その人がどういう経験をされてきたのかをお伺いして、どういった経験がMSLとしてのアピールポイントになるかをお知らせすることができます。
もし気になる方がいらっしゃれば、ご連絡お待ちしています。