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【企業研究】エーザイのアデュカヌマブ治験失敗!残る2製品の治験成功確率は?

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どうも、こんにちは。のぶです。

特に期待の高い新薬の話題を厳選して取り上げていこうと思います。

今回は、2019年3月21日にアデュカヌマブの治験失敗のニュースが流れてましたので取り上げます。

非常に残念なニュースです。

アルツハイマーはこれまでも薬剤開発に失敗し続けています。

なぜこれほどまでに治験が難しいのか、なぜ失敗してしまうのか、

エーザイが有する残る2製品「BAN2401」や「エレンベセスタット」はどうなのか、考えてみたいと思います。

中枢神経系の薬剤は、臨床試験を成功させることが難しいと昔から言われています。

なぜアデュカヌマブの開発は失敗したのか?

これまでの背景を読み解くと多少分かりそうです。

アルツハイマー(以下、AD)は、原因がはっきりわかっていない疾患です。

それにも関わらず、新薬でターゲット分子を決めて、有効性を評価・証明することが求められています。

つまり、よくわからない敵に対して、適切な武器がわからない状態で戦っている状況です。

この状況は、製薬会社にとって治験失敗のリスクが高い疾患領域だということです。

では、アルツハイマーの原因として考えられている仮説は何なのかですが、

アミロイドβ、タウタンパクと呼ばれるタンパク質がADと関係しているという仮説を立てて薬の開発をしています。

これらのタンパク質が塊をつくって、脳内に蓄積することで神経細胞が死滅していき、脳が萎縮したりして、物忘れや感情の起伏が激しくなるなどの症状が起こる病気です。

アデュカヌマブは、アミロイドβをターゲットにした薬剤ですが、このターゲットが間違っている可能性があります。

学者の間でもアミロイドβ仮説に疑義を唱える方もいらっしゃるようなので有り得る話かと思います。

また、これまで開発されてきた薬剤はアセチルコリンを標的にしています。

正確に言うとコリンエステラーゼ(アセチルコリン分解酵素)をターゲットにしています。

アセチルコリンの減少は、AD進行と関連があると考えられており、脳内のアセチルコリンの量を相対的に増やすことでADの進行を抑制しています。

アセチルコリンは、アセチルコリンを分解する酵素を阻害することで、アセチルコリンの脳内増加を促し効果を発揮していました。

ただ、あくまでも”進行の抑制”が作用です。

どんな薬が開発されて発売されているかは、以下です。

・アリセプト(エーザイ)

・レミニール(ヤンセン)

・イクセロンパッチ・リバスタッチ(ノバルティス・小野薬品)

また、NMDA受容体拮抗薬としてメマリー(第一三共)があります。

また、考えられるのが、臨床試験の適格基準・除外基準でしょうか。

これは、試験のサブ解析で、層別化因子別に見た場合、あるポピュレーションで差が出ていた場合に考えた方が良いですね。

エーザイの残るAD治療薬2剤、エレンベスタット、BAN2401は成功するのか?

Bloombergの記事で野村證券のアナリストが治験の成功確率を下げてましたね。

「50%としていたアデュカヌマブの成功確率を0%にするとともに、

類似したメカニズムを持つBAN2401の成功確率も50%から10%に引き下げた」

とのことです。以下、参照です。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-22/POQRAD6S972E01

なぜ下げたのかということですが、類似したメカニズムのため薬効も同じようなことになる可能性がある、ということのようです。

では、アデュカヌマブと他2剤はどう作用機序が異なるのか、です。

いずれの薬剤も原因として考えらえているアミロイドβをターゲットにしている点は共通です。

ただ、薬剤ごとに違いあります。アミロイドβの蓄積度合いが異なる段階での阻害のようです。

BAN2401はアミロイドβが脳に沈着する前の集合体を狙っています。

神経毒性が強いアミロイドβプロトフィブリルに結合することで、アミロイドβを除去する作用がある薬剤です。

エレンベセスタットはアミロイドβの発生段階を阻害します。BACE阻害薬と言われています。

BACE阻害剤はアミロイドの切断を阻害する薬剤として期待されていました。

ただ、これまで様々な製薬会社により開発が実施されていましたが、相次いで治験を中止しています。

イーライリリー、アストラゼネカ、メルク、ヤンセンが次々と治験を中止しています。

他にもロシュが開発していたクレネズマブが2019年2月7日に治験中止を発表しています。

アデュカヌマブはアミロイドβが沈着する直前や沈着後を標的に阻害することをメカニズムとしています。

あくまでも私見ですが、

作用機序の違いが薬効にどの程度影響を与えるのかを考えるには、どの段階がアミロイドβ蓄積の律速段階になっているかが重要だと思います。

もちろん他にも考えないといけない要素はたくさんあると思いますが・・・

エーザイは、これらの3剤についてADの病勢のステージ、症状に合わせた
異なるターゲット・作用機序の薬を組み合わせて総合的なケアをしようとしていたみたいです。

以下、参照です。

https://www.eisai.co.jp/ir/library/presentations/pdf/4523_180308_4.pdf

アルツハイマーの治療薬の開発がいかに難しいのか、というのが分かります。

今回のアデュカヌマブは非常に期待されていただけに残念です。

今後のエーザイはどうなるのか?

エーザイのパイプラインをみると、がんと中枢神経系に特化していますね。

まさに今の時代の流れにのった開発状況ですね。

ただ、フェーズ3試験に入った薬剤がどの程度あるのか見てみたところ、

がん領域では、レンバチニブ(TKI阻害薬)いが発売になっている以外では、1つもフェーズ3に入っていません。

フェーズ1試験、もしくはフェーズ1/2試験のみでした。

中枢神経領域では、フェーズ3試験が一つ(レノックス・ガストー症候群)。

申請予定・申請中の薬剤が2つあります。(てんかん、不眠障害への2剤)

他はフェーズ2試験、もしくはフェーズ1試験のパイプライン構成でした。

なかなか厳しい状況かと思います。

以下、参照です。

https://www.eisai.co.jp/ir/library/presentations/pdf/4523_190204.pdf

最後に

これまでエーザイはアルツハイマー領域では第1線で活躍してきた会社であり、

日本の内資系企業としても人気のある会社です。

是非とも今後の開発に成功して、中枢神経系分野のリーディングカンパニーになってもらえるように期待したいです。

次回も期待の新薬の話題があれば、取り上げたいと思います。

ではでは、この辺で。

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