【お役立ち/おすすめ】今最もホットな話題!?CAR-T細胞療法についてまとめてみた!


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どうも、こんにちは。のぶです。

今回は、今話題のCAR-T細胞療法についてまとめてみたいと思います。

Evaluate pharmによると、2028年の市場は1兆円を超えてくるようなので、かなり期待されていることだと思います。

ブロックバスターという言葉をあまり聞かなくなりましたが、治療を変えうるポテンシャルをもっている製品ですね。

では、早速、CAR-Tについてお伝えしたいと思います。

CAR-Tって何?

まず、CARって何?ということですが、キメラ抗原受容体のことです。

キメラ抗原受容体をT細胞上に発現させたものが、CAR-Tですね。

CARは遺伝子医療の技術を使って作製されたもので、T細胞を改変した製品です。

CARは、腫瘍細胞の表面に発現しているある特定の抗原を認識して、攻撃するように作製されています。

さらに、CAR-T細胞は体内に投与するとexpansionするので、CARを作り出すことができるようになったT細胞とも言えると思います。

それをCAR-T細胞と呼びます。

CAR-T細胞療法の歴史は?

現在、ノバルティス社からキムリアが発売されていますね。

適応は、ALLとDLBCLですね。細かい適応範囲は添付文書にて確認してみてください。

キムリアは、第2世代のCAR-Tと言われています。ということは第1世代からあるわけです。

以下に、簡単にCAR-Tの世代別についてまとめてみました。

第1世代第2世代第3世代第4世代
scFV(抗体)とT細胞受容体(CD3ζ)から成立scFV, CD3に加え、CD28,もしくは4-1BB(CD137)のいずれかの共刺激因子を加えたものscFV, CD3に加え、CD28と4-1BB(CD137)をタンデムに繋げたものサイトカイン放出が効率的にできるように改変したもの
vitroでの効果は確認できたが、臨床では効果が発揮されなかった。現在、発売・開発されている製品がこちら。より細胞の体内生存・持続を高めたもの

徐々に、改良が加えられてCAR-Tがより効果の発揮できる製品に変遷しているのが伺えます。

ここまでお示ししたCAR-T細胞療法は、「患者由来のT細胞」を患者から採取し、「患者自身」に投与するというのが現在のCAR-Tになります。

一方で、移植に関して知識のある方ならお分かりかと思いますが、「健常人」からT細胞を採取して、「患者」に投与するU-CAR-T (Universal-CAR-T)というのも開発されています。

Allo-CAR-Tとも言われてますね。ドナー由来のT細胞を使用しているためです。

このCAR-T細胞、実は非常に期待がもてると思っています。

現在のところP1試験が走っている状況ですが、開発を日本で行っている会社があります。

それが、セルヴィエです。

Allo CAR-Tに関しては、改めて記事の下方に書きます。

私は個人的にはかなり期待しています。

CAR-T細胞療法はどこの会社が開発しているのか?

現在は、第2世代のCAR-Tということで、ノバルティス、ギリアド/カイト、セルジーン/ジューノなどが開発中です。

日本で承認・発売しているのは、ノバルティスファーマのキムリア(tisagenlecleucel))ですね。

海外では、イエスカルタ (axicabtagene ciloleucel)が承認になっていますね。日本はまだのようです。

海外含めて現在の臨床試験の数は350以上と言われています。

かなりの数が開発されているので、もし発売されるものが多くなると過当競争が想定されます。

なので、今後MSLやMRとして働くとなると、そういった側面もあることを認識しておくのは重要かもしれません。

市場規模が1兆円ということなので、ありえない話ではないですね。

将来的には、どう使い分けるのか、コストや効果の面からも色々とありそうですね。

CAR-T細胞のメリットとデメリットは?

メリット、デメリットについてお伝えします。

ご存知の方も多いと思いますが。

メリット

再発難治の疾患に寛解が期待できる

これは、DLBCLやALLでも言われていますね。

最大のメリットであり、その通りかと思います。

もちろん全員に効くわけではありません。夢の薬ではありませんので、誤解のないように。

今は、CAR-T投与後の再発についても議論されています。

特に、CD19抗原をターゲットにしたCAR-T細胞療法ですので、一度投与すると抗原がロスしてしまい、効果がなくなるというメカニズムが想定されています。

さらに、T細胞の疲弊ですね。こちらもCAR-T細胞療法の再発のメカニズムとして考えられています。

デメリット

費用が高いが、1回だと3,400万程度。

費用が高いので、あまりにも多くの患者に使われると日本の場合は社会保障費が枯渇してしまいます。

ただし、オピジーボなどのPD-1抗体やPD-L1抗体も投与継続が続けば、簡単に3,000万はこえてきますので、一概にCAR-Tが高いのかどうかは分かりません。

がん治療においては、まだ高い薬剤があるということですね。

しかし、若年者のALLやDLBCL患者の場合、人口減少が叫ばれている日本で寛解、治癒ができた場合は、経済的なメリットはあると考えます。

患者をそのように考えてはならないかもしれませんが、経済性の観点からいうと若年者ほどメリットが大きいと考えます。

また、最近では、ノバルティスからゾルゲンスマという2億円する薬剤が出てきております。

そういった薬剤もあるので、費用対効果などの経済的な側面、成果報酬型の制度導入など検討すべきことは今後多くなりそうです。

ただ成果報酬型の制度導入は難しいものがあるといった記事を以前何かで読んだような気がします。

サイトカイン放出症候群や神経毒性の問題

これらの副作用により、発熱・悪寒など色々と起こるようです。

致死的なものが起こる可能性があるので、注意が必要です。

ただし、サイトカイン放出症候群が起こると、サイトカインがたくさん出るということはT細胞が体内で分化・増殖している、つまり効果が期待できるということの裏返しであるとも言われています。

薬の一般論を聞いているようですが、そのようです。

対処方法としては、アクテムラがサイトカイン放出症候群に適応が通っていますし、アクテムラでもダメな場合はステロイドによる対処を行うようです。

CAR-T投与後の再発

これも問題ですよね。

既存のCAR-Tは再投与はできないですし、何か新しい薬や治療法があるわけではないので、再発した場合にどういった対応がされるのかは興味があります。

原因としては、先ほどもご紹介した通り、CD19(ターゲット分子)抗原の消失、T細胞の疲弊などのようです。

また、体内でのCAR-T細胞の持続性についても議論されているようですが、試験によって結果が異なっており、体内にT細胞があることが奏効持続に関係するのかはわかっていません。

U-CAR-Tには期待大である!

U-CAR-Tは何度でも投与が可能ということが特徴です。つまりCAR-T細胞で再発した場合に何度でも投与が可能のようです。

U-CAR-Tこそが本当に期待できる薬剤かもしれません。

ものすごいポテンシャルがあると思っていますので。

開発しているのはセルヴィエという会社ですが、そのNewsreleaseで出ていましたが、セルヴィエとAllogene therapeuticsという会社が共同でUCART19という薬剤を開発しています。

ALL(急性リンパ性白血病)の小児、成人対象に行われたフェーズ1試験で20例程度で行ったもので、良好な成績を納めています。

奏効率82%みたいです。

これまで、CAR-TについてはCD19をターゲットに血液がんをメインとして開発がされてきており、武田が固形がん対象のCAR-Tの治験を実施していますよね。

ノバルティスのキムリアが日本でも最近承認されたことが、記憶に新しいと思います。

セルヴィエの持つこのCAR-Tは私も知らなかったのですが、allogeneic CAR T (AlloCAR T™) と呼ばれるもののようです。

Alloですので、他人の細胞を使った治療ということです。

Auto(自己)やAlloは移植の分野で使われる用語です。

今回のAllogeneic CAR-Tとは、健康成人からT細胞を採取して、それを調整し、調整したCAR-Tを患者に投与する仕組みです。

従来のCAR−Tは、患者自身から採取したT細胞を調整してCAR-Tを作成します。

調整して作成したCAR-Tを患者に投与します。

ということで、自分(患者)から自分(患者)に投与するのが、従来のCAR-T療法ということです。

Allogeneic CAR-Tは何がメリットなのか?

勝手に4つにまとめてしまいましたが、複数メリットがありそうです。

では、それぞれについて解説してみます。

①従来の CAR-Tに比べて大幅なコストカットが出来る!

なぜ健康成人からわざわざ採取して、Allogeneic CAR-Tとする必要があったのかというと、1人の健康成人から採取したT細胞は、調整すれば100人の患者に投与することが可能です。

従来のCAR-Tでは、一人の患者から一人の患者にしか投与できませんでした。

つまり、効率よくCAR-Tを作成できます。

これによりおそらくですが、大幅なコストカットが可能となりそうです。

②在庫として備蓄可能で、必要な時に投与が可能!

Allogeneic CAR-Tは在庫として備蓄できるようです!これもすごい!

従来のCAR-Tであれば、患者からT細胞採取して随時調整して患者に投与するまで数ヶ月患者を待たせることになります。

疾患によっては、CAR-Tは調整に時間がかかるため、患者さんへ投与するのに間に合わない疾患もありますので、CAR-Tは万能ではないのです。

その点もallogeneic CAR-Tは克服できます。

③有効性と安全性がある程度予測可能になる!

従来のCAR-Tは、患者個々からT細胞を採取して調整してきたので、患者によって効果はマチマチです。

しかしながら、Allogeneic CAR-Tは健康成人から採取したT細胞で調整するので個人から採取したものよりもより均一性が増します。

均一性が増すということは、それだけ薬剤として同じものが量産できるので、今回のAllogeneic CAR-Tの100例分の薬剤に関しては効果や安全性の予測がしやすくなります。

④薬剤の再投与が可能になる!

従来のCAR-Tは、患者個人から調整していたので、採取できるT細胞に限りがあり再投与は難しい場合がほとんどかと思います。

しかし、Allogeneic CAR-Tは在庫もあるし、再投与は可能となります。

ただ、再投与して効果を発揮するのかどうかはわからないです。

以下、Allogeneic therapeuticsのサイトを参照です。

https://www.allogene.com/science/overview/

最後に

今回はCAR-T細胞療法にまとめてみました。

CAR-T細胞療法は夢の薬ではないですが、期待はできるものと考えています。

今後、日本でも使用数・頻度が増えていくものと考えていますが、知見が増えて将来の患者のために役立つものになると良いなと思います。

また、今回は取り上げませんでしたが、免疫チェエクポイントであるPD-1抗体, PD-L1抗体との併用や、バイスペシフィック抗体の発売も期待されます。

バイスペシッフィック抗体とは二重特異性抗体のことですが、2つの手(抗体)により、2つ異なる抗原を捉えることができるものです。

例えば、CAR-Tなら、CD19とCD22に対するバイスペシフィック抗体が開発されています。

なので、CD19抗原が消失した場合、CD22を捉えることができるバイスペシフィック抗体にて解決ができる可能性があります。

様々な手法を用いて、開発が進んでいますが、とても開発スピードがはやいのでついていくのが大変ですね。

そして開発を行っているのは、名の聞いたことのないベンチャー企業。

名を聞いたことがなくても、私はベンチャー企業にかなり期待をしています。

大手はほとんど薬が作れていないので、ベンチャーのような企業の研究者には期待をしています。

ではでは、この辺で。

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