どうも、のぶです。
学術職やMR職と、MSL職は何が違うのか、よくある質問かと思いますが、こちらの記事を作成しました。
分かるようで分からない部分があると思いますが、私見も含めて回答していきます。
一言で言うと、MRや学術とは、面談の目的やゴールが違うので、結果は違うものが得られます。
医師に面談しているということがMR・学術と同じなので混乱しやすいかと思いますが、面談の中身が異なるということを理解しておいてください。
それぞれの職種の共通点は?
まずは、2つの職種について共通点をあげたいと思います。
・医療従事者である医師らを訪問して、面談を行う
・医療従事者に情報提供を行う、質問へ回答する職である
これらは共通することだと思います。
また、一部の方が誤って理解されているのでお伝えしますと、MSLは未承認薬を扱えて、MRは既承認薬のみという理解をされている方がいますが、情報提供ガイドライン上、MSLもMRも未承認薬の情報は医師等からの求めに応じないと提供できません。
また、こちらから誘導するようなかたちで、未承認薬の情報を提供するように医師に仕向けるようなこともないようにしないといけません。
となると、MSLも出来ることってかなり限られますよね。
もし、未承認薬などの情報を積極的に提供したい場合は、契約を結んだ上で情報を提供するようなことになりそうです。
実際に、面談前に契約を結び活動をしている会社もあると聞きました。
それって本当に大丈夫?って感じではありますが。
ただ、2019年4月以降は製薬協から出ている「販売情報提供活動ガイドライン」に従うと、契約を結んだからと言っても未承認薬だからダメなのでしょうね。
それぞれの職種の違いは?
大きな違いは、学術職とMSL職では職における目的 とゴールが異なるかと思います。
以下、私見ですが、
学術職は、MRでは答えきれない先生からの質問に的確に答え、適切な学術情報を届けることで製品の価値最大化につ なげることが使命かと思っています。
一方で、MSL職は、学術情報のディスカッションも職務としての一面はあるものの、 疾患・薬剤の臨床研究、臨床試験につながるようなインサイトやアンメットメディカ ルニーズを収集することに重きを置いております。
例えば、○○ という製品に関して、◇◇というデータはあるが、△△というデー タがないので開発をしてほしいというような要望を聴取するこ とになります。
要は、データ創出につながるような案を抽出したり することが職のメインです。
この研究開発につながる案を聴取するには、高度な学術知識が必要になると考えております。
○○という製品で行われている自社・ 他社の製品開発タイムライン を把握したうえで、疾患に対する知識を持ち合わせ、疾患と製品の アンメットニーズは何かを探るためのディスカッションを行います 。
ただし、各社何に重きを置いているのか、状況が異なるとは思いますので確認が 必要ですが、私の知る範囲では上記がMSL職のメイン職務となります。
MSLにより集められたインサイトやアンメットニーズはどうなるのか?
MSLが収集したアンメットメディカルニーズなどの情報は、社内で精査され、将来的な企業主導の研究実施や、医師主導研究を実施してもらうということです。
厳密には医師主導研究は、医師が発案したものを企業が資金のみサポートするというところがほとんどだと思いますが、
医師によい研究を発案してもらうためにディスカッションをするということだと思います。
難易度は高いですよね。
研究によって証明された薬剤や疾患のエビデンスは世の中に出ることで、患者に貢献していくというようなことになると思います。
これらのエビデンス創出につながるような仕事をサポートすることを主な業務と考えています。
某外資系企業では、インサイト・アンメットニーズを収集する部隊、提案のあった医師主導研究などの研究をオペレーションする部隊、非臨床研究の部隊と3部隊体制を敷いている会社があるようです。
この中で、MSLがどこに所属するかと言うと、MSLはインサイト・アンメットニーズを収集部隊であるということです。
臨床研究のオペレーションは臨床開発の経験がないとなかなか難しいということで、開発部門出身者が異動してきて所属しているようです。
非臨床研究もそうですよね。これは研究職出身の方が適している感じですね。
MR・学術とMSLでは所属する部署が異なる!
学術職は営業本部内の部署に所属し ているケースが多いです。
一方で、 MSLはメディカルアフェアーズという別部署の所属です。
また、会社によっては研究開発部に所属しているところもあります。
つまり 、MSLは、営業とは一線を画した部署ということで言われてお ります。
営業と完全に分離するために、所属する部署を変えているところも多くあるようです。
ただ、会社によってはMSLが営業本部に所属しているところもまだあるようです。
MSLとして製品価値最大化≒売上拡大を主目的に、 KOLに対して営業的側面も持ち合わせて活動を行っている会社もあるようです。
医師からはMSLはどの程度認知されているのか?
ある調査では、医師のMSLへの認知度は30−40%程度であるとの結果があります。
つまり、半分程度の医師にはMSL自体が認知されていない、
もしくはMSLとMRの区別がつかないということです。
その原因に考えられるのは、ある特定の医師のみにしかMSLがアプローチしておらず、その医師以外に調査を行ってしまっているので、認知度が低く出てしまっている可能性があります。
また、MSLとMRでの役割分担が医師に伝わっていない。伝えられていない。
医師も理解していない可能性があります。
上記以外にもいろいろと可能性はありそうですが、それはさて置き、活動しているMSLもMRや学術職との違いを意識した活動ができているのか、ということです。
そもそも、仕事内容がMR・学術職とMSLでほぼ同じと理解して活動していないか?ということです。
同じ医師を対象に話をするわけですから、同じと言えば同じです。
となると、MSLと学術職で違いを出すには、どんな内容の話題でディスカッション出来れば良いのか、ということです。
繰り返しになりますが、基本的には、臨床研究につながるようなディスカッションをすることがMSLの仕事になるので、MR・学術職とは話す内容は変わります。
この点を意識することで、MSLは違いを出すことができるのではないでしょうか。
最後に
2019年4月から販売情報提供ガイドライン施行に伴い、MRも学術もMSLもなかなか情報活動が制限されますね。
それぞれの役目を果たすために、ガイドラインを守りながら活動をするわけです。
それぞれの役割を明確にしたうえで、情報活動をすれば製薬会社の情報提供の価値があがると思います。
MSL不要論も出ていますが、きちんと役割分担をして活動しましょう、と言いたいところです。
就職・転職面接における質問として、「MSLはどんな仕事をしているか理解してる?MRとは何が違うか分かる?」ということが聞かれる可能性があります。
特にMRはじめMSL未経験で転職する場合は、けっこう高い確率で聞かれる質問かと思います。
面接対策として、違いは特に意識しておきたいところです。
MRの経験から抜けられないと、MSLの価値が認識できていない、MSL活動ができない人というレッテルをはられる可能性があります。
なので、きちんと違いを認識しておきましょう。
ではでは、この辺で。