MSLの面接で面接官が見ているのは、大きく分けて人間性、行動特性、思考の型と深さの3つです。1時間ほどの面接で人を見抜くのは正直むずかしいのですが、この3つは準備した答えの裏から、どうしても見えてしまいます。
この記事を書いている私(のぶ)は、製薬会社でMR、MSL、メディカルアフェアーズ(MA)を経験してきました。MSLの転職では数十社の選考を受け、以前いた会社ではMA・MSLの候補者を面接する側にも座っていました。受ける側と見る側、両方の経験から、MSLの面接で差がつくところをまとめます。
MSLの面接の流れ
私が受けてきた会社は、だいたい1次面接と2次面接の2回でした。
- 1次面接:入社したら上司になるMSLのマネージャーや部長。MA部長が同席することもある
- 2次面接:人事部長を含む役員。メディカルのポジションなら、MAのトップが同席することが多い
- 会社によっては、プレゼン面接やロールプレイが加わる
通常は1時間ほどですが、2時間半まで続いたことがあります。逆に30分で終わった面接は、ほとんど質問されず会話も弾まないまま、不合格でした。面接の長さは、相手の関心の大きさをかなり正直に表していると感じます。
面接官が見ている3つの評価軸
1. 人間性
人間性は、話の中身より話し方に出ます。前の職場の上司や同僚をどう語るか。うまくいかなかった経験を誰かのせいにするのか、自分に何ができたかで語るのか。想定外の質問に「分からない」と言えるのか、それらしい答えでごまかすのか。
MSLは先生と科学的な議論をする仕事です。知ったかぶりは、面接でも先生の前でも一番信頼を失います。
2. 行動特性
行動特性は「そのとき、具体的に何をしましたか」という深掘りで見えてきます。課題に気づいて自分から動いたのか、言われてから動いたのか。周りをどう巻き込んだのか。
面接官をしていたとき、職務経歴書にない経験について「経験はありますか」と聞いて、「あります」と即答されたことがあります。私はその場で深掘りしなかったので、本当かどうかは最後まで分かりませんでした。今なら「具体的に何をしましたか」と聞きます。受ける側は、ここまで話せる準備が必要です。
3. 思考の型と深さ
型は、結論から話せるかどうか。「〇〇で何が重要だと思いますか」と聞かれて、経験談だけを長く話してしまい、最後まで「何が重要か」が出てこない。面接官として実際にあったすれ違いです。答え方の型は「〇〇が重要だと考えています。なぜなら、〜という経験をしたからです」。結論が先、経験は根拠です。
深さは、「なぜ」を重ねたときに分かります。私自身、ある外資系の面接で「なぜ」を繰り返され、角度を変えて同じことを聞き直されました。ほぼすべてに答えられたとき、コミュニケーション能力が高いと評価されたことがあります。MSLの面接でいうコミュニケーション力とは、話のうまさではなく、質問の意図を汲み取って的確に答える力です。
実際に聞かれた質問
私がMSLの面接で実際に聞かれた質問です。準備用のリストとして使ってください。
- 志望動機、転職理由
- 短期と長期のキャリアプラン
- MSLとして何ができるか
- 気難しい医師への対応
- 担当したい疾患領域
- 強みと弱み
- 医師の興味を引く話題
- チームリーダーの経験と、統率が取れないときの対応
- 自社製品の特徴の説明
- 文献検索の方法と工夫
- 顧客や社内からの評価
- MRとMSLの違い
- 優秀なMR、優秀なMSLとは
- 英語力、勉強法、海外とのやり取りの経験
質問集と答えを準備しても、想定が当たったのは4割くらいでした。残りはその場で考えることになります。だからこそ、答えを丸暗記するより、自分の経験を「結論→理由→具体的な場面」で話せるように整理しておく方が役に立ちます。
「難しい医師への対応」はこう答える
この質問は、ほぼ必ず出ます。私は、まず自分にとっての「難しい先生」を定義してから答えていました。たとえば、質問に質問で返してくる先生、最初から機嫌が悪い先生、自社に否定的で話を聞く姿勢がない先生、といった具合です。前提を自分で置くと、その後の答えを自分の土俵で進められます。
ただ、定義だけでは弱い。実際に苦戦した場面と、どう準備して向き合ったかを一つ添えてください。
プレゼン面接の注意点
プレゼン面接で、私は一度落ちています。お題は「自分の得意な領域で、自分でストーリーを組んでプレゼンをしてください」。MR時代の感覚で分かりやすさを優先したところ、「もう少しサイエンスの深さや面白さが伝わるプレゼンだったら良かった」というフィードバックでした。
MSLのプレゼン面接で見られているのは、一緒に議論したくなる論点があるかどうかです。「MRではこのプレゼンはできない」と言える中身にし、発表後の質疑を想定して答えを用意しておきましょう。未経験の疾患領域でプレゼンを課されたときは、知識の完成度より、理解の速さと質疑での対応力が見られていました。
逆質問で確認したいこと
面接は、こちらが会社を見極める場でもあります。私が面接の最後に確認していたのは次の5つです。
- 他社のMSLと比べて、業務内容に違いはあるか
- MSLの評価体制(何で評価されるか)
- 社内の認定制度があるか
- 入社後のキャリアパス
- 在籍しているMSLのバックグラウンド
特に評価体制は重要です。業界のルールでは、MSLの評価指標は売上目標など営業に関連する項目にしないことになっています(日本製薬工業協会「メディカル・サイエンス・リエゾンの活動に関する基本的考え方」2019年)。答えに件数や売上しか出てこない会社は、一段深く聞いてみてください。
よくある質問
面接で嘘をついたら見抜かれますか?
その場では見抜けないこともあります。ただ、深掘りの質問が続くと、具体的な場面を話せずにほころびが出ます。一度不信感を持たれると、ほかの答えまで割り引いて聞かれるので、背伸びはおすすめしません。
MSL未経験でも面接で評価されるポイントはありますか?
あります。MSL経験の有無より、自分の経験から何を重要だと考えるようになったかを、結論から話せるかが見られます。薬剤師、CRA、研究職、MRなど、どの経歴でも「なぜ」を3回重ねられても崩れない答えを用意しておくことが一番の対策です。
英語はどのくらい聞かれますか?
私が受けた選考では、英語力の確認はほぼ必ず入りました。英語での面接があった会社もあります。スコアだけでなく、海外とのやり取りの経験や、その場で聞いて答える力も見られます。
面接準備を一人で進めるのが不安な方へ
のぶのMA・MSLキャリア相談では、経験の話し方や「なぜ」への答えを一緒に整理しています。初回5名、無料。オンライン30〜45分、またはメール3往復まで。求人紹介・採用のあっせんや、内定・年収の保証を行うサービスではありません。
関連記事:MSLへの転職に迷う人へ|応募前に整理したい5項目、MAとMSLの違いとは?
面接官の視点をもっと知りたい方は、noteにも書いています:MSLの転職面接、逆質問はこの1つでいい
執筆:のぶ。MR・MSL・MAとしての経験と、採用面接に関わった経験をもとに書いています。面接の形式や質問は会社によって異なります。

